日々つれづれ2

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Simple Complexity

時系列に沿って過去の記事を振り返るとよくわかるんですが、

2003年
http://www.igda.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=9
>日本人は自動車でもマニュアル車ではなくて、オートマ車でいいんだよね。
ゲームリパブリック岡本吉起さんへのインタビュー。「簡単操作で複雑アクション」って意味ですね。
2004年
http://www.gamearchive.jp/1gap/2now/gakusyuukai/200407.htm
>また、日本のノウハウを海外の開発者がまねているということは事実なのですが、なかなかまねきれないんですね、これが。
でもって、これがゲームアーカイブプロジェクトで僕が話した内容。日本の強みがキー操作などを含めた、一連のインタラクティブメディアデザインにある、と言っています。
2006年(GDC)
http://www.rbbtoday.com/news/20060324/29804.html
>「God of War」や「Project Gotham Racing 3」は作れても、「ワンダと巨像」や「Nintendogs」が作れない、欧米の開発者の羨望や危機感が背景にあると考えられる。
今年のGDCアワードの拙稿です。「日本はゲームデザイン」「欧米は物量」と、両者の強みをそれとなくにおわせてます。ま、「God of War」もかなーりキー配置などが良くできたゲームでしたがw
で、この辺の話を枕に次の記事を読んでもらえると面白いんですが、
2006年(E3)
http://www.rbbtoday.com/news/20060519/30962.html
>ゲームでは、非常に複雑な事を数多く達成しなくちゃならないでしょう? いろんなアクションがある。でもそれを単純にするのが大切だと思ったんだ。
立命館大学の中村さんの、Xbox360Gears of War」ゲームデザイナー、クリフ・ブリジンスキー氏への突撃インタビュー。ここで氏は「Simple Complexity」というキーワードを使って、自分のゲームデザイン哲学について語ってます。言うまでもなくこれって「簡単操作で複雑アクション」って意味ですよね。
ついでに氏はサラッとこんなことまで言ってます。
>やはりブランディングかな。ブランディングゲームデザインをしていく上ですごく重要だと思ってる。コントローラのそれぞれのボタンを特定の機能としてブランディングしてしまうんだ。Aは攻撃、Bはダッシュ、とかね。
これは言い換えると「Aは決定、Bはキャンセル」ってことです。さあみんなで言ってみよう「ゲームニクス・・・」ま、いいや。このようにボタンの役割をブラさないというのは、「ボタンに信頼性を持たせる」ということです。んでもってこれは、直感的な操作(=マニュアルや手元を見ずに遊ばせる)上で非常に重要な要素であります。とりあえず「Simple Complexity」って言葉を引きだした中村さんは偉い! 書いたことをすっかり忘れてるのも奥ゆかしい!
いやー、日本のノウハウがどんどん海外の開発者にまねられている予感。やっぱ彼らはお手本からマネるのは巧いね。もうちょっと上品な言葉でいうと、ノウハウを体系化し共有化する(暗黙知から形式知を導き出して流通させる)手段が巧い。さすがナレッジマネジメントの本場! もっとも共有されているのがチームの上澄みの一握りのみで、大多数の人間は指示に従って絵を描くだけ、コードを書くだけって感じもしますが・・・。



というわけでゲームデザインに関する、日本人によるノウハウの蓄積が急務と感じる今日この頃ですが、米光さんの連載記事がとてもおもしろいのでぜひご覧くださいw 
http://www.rbbtoday.com/column/gamelab/20060630/


ちなみにブリジンスキー氏は「メタルギアソリッド」や「バイオハザード」の大ファンで、「Gears of War」にも多大な影響が伺えます。なにしろこれ、FPSじゃなくて三人称アクションですし。そういやEAのニール・ヤングも、自分がプロデュースした「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズは、「ゴールデンアックス」のオマージュだって言ってましたっけ。。。