日々つれづれ2

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レビューの書き方7箇条

フロムゲーマーズの連載も終了したところで、この辺で僕のゲームレビューの書き方について、一回お蔵出しをしておきます。ま、一つの例と言うことでw
1:ゲームのプレイ時間
1周と言わず長ければ長いほど良いに越したことはないんですが、ぶっちゃけ締め切りや、他の仕事との兼ね合いもあるわけで、特に指定がない限り、僕は1ゲームにつき10時間を目安にしていました。「金八先生」みたいに全クリしちゃったものもありますけどね。でもまあ10時間ユーザーの時間を費やさせるってことは、今時えらいことです。10時間遊んで判断がつかないモノも時々ありますが(そういうゲームが良いゲームなんですが)、その時は「10時間遊ばさせた」という事実を元に判断するようにしています。ただ、おもしろいゲームほど重箱の隅が気になって長時間遊んでしまう傾向にはあります。
2:批評って何?
前に批評ってのは野次馬みたいなものだと言ったことがありますが、もうちょっと詳しく言うと「別の言葉でモノの価値を言い換えること」だと思ってます。「これってどんなゲーム?」と聞かれた時に、「AでBでCで・・・」とマニュアルの羅列をしても、それは説明であって批評にはなりません。でも、ひとこと「おもしろい(つまらない)ゲームです」といえば、それは批評になります。なぜなら、そのゲームに対して「おもしろい(つまらない)」という別の価値を提示しているからです。裏を返せば「クソゲー」というのは誰もが4文字でできる優れた批評だったりします。
3:批評の商品性って?
ただし「おもしろい(つまらない)」だけでは原稿料がもらえません。なぜなら、それは誰もが遊べば気づくことだからです。それではAmazonのユーザーレビューに勝てません。他の人では気づかない自分なりの視点と、それを誰もがわかるように文字で説明する筆力が必要になります。僕の場合はフロゲーのコラムを続けながら、だんだん「ゲームって情報デザインの一種なのでは? 入力と出力を繰り返しながら、プレイヤーに的確に情報を提示することが、おもしろいゲームの条件なのでは?」と感じるようになりました。他にもいろんな視点があるんじゃないかと思います。
4:批評に正解はあるの?
批評が評者の視点に基づいている以上、正解も間違いもありません。ただし、お金になる批評とならない批評はあります。それを判断するのは評者ではなく読者、もっと正確には編集者です。ですから編集者から依頼があるうちはOKです。理不尽な打ち切りを食らったら「時代に早すぎたのだ」などと自己正当化しましょう。ただし「フロゲー」のコラムは打ち切りではなくリニューアルに伴う終了なので誤解なきよう。ま、4年弱も続けば大したモンですw 
5:書き方のコツは?
「何を書くか」ではなくて「何を省くか」です。なんたってフロゲーのコラムの場合は300文字くらいしかスペースがありませんでしたから。そのため、最も書きたいことから順番に書くようにしていました。そんだけしか文字数がないのに、些細な欠点なんて書いてる余裕はないんです。でも、おもしろいゲームほど重箱の隅が気になるのも確かです。というわけで、「ここがつまらない」と書いたゲームは、実はおもしろかったんだとご理解くださいw
6:でもって一番大切なことは?
締め切りを守ることです。締め切り後に120%の原稿を出すより、締め切り前に80%の原稿を出す方が、編集者にとってはありがたいです。まだ直させる余地がありますからw 2つ目に書いたら最低1晩は寝かせて推敲することです。最後にこれは一般論ですが、内容に事実誤認があったらすぐに謝ることです。ミスをしない人間はいません。
7:メーカーチェックってどう思う?
メーカーチェックはないにこしたことはありませんが、「見せる」と言わなければ画面写真を貸してくれないところもあります。解決策は2つで、画面写真を借りないか(載せないor自分で撮影する)、要求されたら原稿を見せることです。要は見せても赤入れをさせるような原稿を書かなければ良いんです。そのためには事前に編集意図を良く説明しておくことが重要です。その大前提として、やっぱり対象とするゲームは借りるのではなく買った方が良いんじゃないですかね。そっちの方が何かと楽です。