日々つれづれ2

はてなダイアリーから引っ越しさせました

ゲーム批評という学校

おかげさまでゲーム批評&続刊のG-NAVIも終了して期も変わりました。ここらでそろそろ時効という感じもしますので、もろもろ個人的な事柄を整理してみようかと思います。
まあ、改めて思うのは自分にとってゲーム批評という雑誌が果たした役割は非常に大きかったですね。なんたって新卒で入って最初の雑誌で、途中パソコン批評とかPC-DIYとかもやってたとはいえ、基本的にゲーム批評プロパーで、最後は編集長までやりましたから。そりゃ色々な意味でねじまがりますよw ちょうど業界の激変期で、いろんなところに取材に行って、いろんな開発者やライターさん、他の編集部の方と話をして、本当に勉強になりました。さらに雑誌にもかかわらず広告がない、にもかかわらず編集部は全員ジャーナリズムの素人ということで、信じられないほど好き勝手をしてました。それを生暖かく見守っていただいた業界の皆様、特にPRや広報の方には感謝します。あんまり表には出ないですけど、ゲーム批評が続いたのは皆様のおかげです。だって画面写真は全部キャプチャ、コピーライト表記なし、そのうえで業務用の画面写真や筐体写真は借りてたわけですよ。んでもって断られたら画面写真なし。つっこまれたら「正当な引用の範囲内」と突っぱねる。レビュー内容のチェックもなし。そこまでやっておいて「取材させてください」「インタビューさせてください」ですからねえ。当時はそれが普通だと思ってました。ごまめの歯ぎしりとはいえ、本気でNEWSWEEK日経新聞朝日新聞の夕刊に負けない内容を意識してました(新聞の夕刊ってコラムが多くて雑誌みたいでしょ)。いや若気の至りというのは恐ろしいw ちなみに取材内容も高望みしてましたから、取材が通る確率は毎号3本に1本というところ。3打数1安打とは高打率、なんて当時は言ってましたっけ。おかげで台割が最後まで決まらなくてデザイナーさんにはご迷惑をおかけしました。僕の中のホームランは、やっぱり宮本サンと名越サンの対談ですかねえ。逆に大失敗だったのは、読者コーナーを軽視したこと。みかねて、がっぷ獅子丸センセから助け船をいただきましたが、後の祭りというか。実際1999年7月号と9月号(僕が編集長になって最初の2冊)でガクン、ガクンと実売数が減ったんですけど、読者コーナーの混乱が原因で離れた率も多かったと思います。上ばかり見ていて足下を見てませんでした。コミュティマネジメントに失敗しました。とまあ、いろいろありましたけど、総じてたいへん勉強になりました。おかげさまで僕は今でもフリーでゲーム関係の原稿を書いているわけですが、最初がゲーム批評じゃなかったら、フリーにはなれなかったでしょう。良くも悪くも自分にとっては仕事ではなくて、学校みたいな存在でした。
ただまあ、いろんなところで「社長と喧嘩して辞めた」と言ってて、事実そうなんですけど、「土壇場ですべてを放りだして逃げた」側面もあるわけで、これが以後のゲーム批評の凋落のきっかけになったことも事実です、ハイ。男女問わず「土壇場で逃げない」のが僕の理想の人ですが、すみません僕は逃げました。自分もまた言ってることとやってることが微妙に違うw 辞めた直後は晴れ晴れして、海外取材にも好き勝手に行けるようになって、客観的な意味で良かったとは思いますが、時間が経つにつれて、これがけっこう自分の中で重荷になっていました。そのため頼まれれば結構原稿を書いてます。企画協力とかもしました。DSの発売時には5年ぶりくらいに任天堂に(自腹で)取材に行きました。中でも2005年のE3(自腹)でホテルから原稿を書いて送ったのが一番の思い出でしょうか。疲労と寝不足でホントにきつかったです。でも正直ゲーム批評に書けるのは、とても嬉しかったですね。使ってくれた歴代の編集部の皆さんに感謝します。あーでも一回だけ断ったことがありました。ゲームキューブが出た時の特集で、岡本吉起さんと名越念洋さんの対談をするので司会&原稿を書いてくれと頼まれたんですよ。直前のE3にも行って、ゲームキューブも買って、それもあって失望したんです。今までと何にも変わってないって。言ってることと、やってることが微妙に違うって。建設的な対談司会ができそうになくて、断っちゃったんですよね。おかげでたいへんご迷惑をおかけしました。改めてスミマセン。
というわけで最近はゲーム関係ではSlash Gamesと、まんたんブロード&ウェブで原稿を書くことが多いです。Yahoo!mixiをはじめ、いろんなウェブ媒体に配信されて、ゲーム批評時代から比べると広がりがあって良いんですけど、ひとつ言えるのは、僕も含めてみんなレビューが誉め過ぎなんですよね。それもおもしろから誉めるというのではなくて、正直ゲームを遊んでなくて書いてるだろこれ、って感じるのもある。誉めるのって楽なんですよね。誰からも文句が出ないから。特に編集部から嫌われないから。メーカーの用意した宣伝文句を繋げて書くのってホントに楽。でもこんなことを続けてると、Amazonのユーザーレビューに勝てないと思います。だってもう、僕も人の書いたレビューなんて読まないもん。商品を買うときに一番参考にするのが、ブログの書き込みやユーザーレビューなんだもん。プロとしては、自分たちの書くものがその程度のものになってるという思いは、常に意識していた方が良いと思います。「右手で握手しながら左手で殴り合う」ってのは、僕が編集長の頃に良く言ってたことなんですけど、ウェブ中心になってきたからこそ、もっかい自戒したいところであります。
あと関係各社のご尽力で今年もE3に行く予定です。もちろん自腹です、ハイw