夢やぶれてゲーム業界
アップルストア銀座店でコナミの小島監督のトークイベントがあり、取材に行ってきました。拙稿がこちら。珍しく全文テープおこししてから原稿を書いたりして、余裕ぶっこいていたら時間が足りなくなり、文末に「〜という。」が連続する恥ずかしいレポートになってしまいましたが、まあ気にすまいW あわせてジーパラさんとファミ通さんの記事リンクもどうぞ。まとめ方や記事スタイルが違っていて興味深いかと。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20090427_164012.html
http://www.gpara.com/pickupnews/news/090427_kojima/
http://www.famitsu.com/game/news/1223834_1124.html
でもって個人的なポイントは、やっぱり「夢やぶれてゲーム業界」のくだりでしょうか。「漫画家崩れ、デザイナー崩れ、ミュージシャン崩れなどで、みんな目指す道を諦めてゲーム業界に入ってきた『どうしようもない奴ら』。ここで初めて『仲間に出会った』と感じたという。唯一いなかった人種は「ゲームを作りたくて入ってきた」クリエイターだった」。似たような話は僕も取材先で良く聞きました。この時期のゲーム業界って、ある種の挫折であったり、コンプレックスが、プラスのエネルギーに働いたというのは、少なからずあったと思います。
ただ、これって世代によって違うんでしょうね。僕は1994年に社会人になりましたが、当時はゲーム業界って次世代機の登場もあったりして、不況知らずの超優良業界といわれていて、企業セミナーで学生が押し寄せたりして、凄いことになってました。当然ながら「ゲームが作りたくて」応募した人が大半だったと思います。それはもう、当然のことですよね。
というわけで、年齢別のゲームクリエイターの分布状況が発作的に知りたくなって、ネットで調べてみたのがこれ。他に資料がなかったので、wikiの「ゲームクリエイター一覧」に掲載されている方で、出生年度が記載されているものを並べてみました。中には経営者だったり、ボードゲーム業界の人なども入っていますが、まあ大ざっぱな傾向ということで。
=====50年代以前(33名)======
1934 鈴木銀一郎
1941 横井軍平
1943 ノーラン・ブッシュネル
1943 上村雅之
1944 西角友宏
1948 糸井重里
1950 仁井谷正充/加賀昭三
1952 宮本茂/さくまあきら/金田伊功
1953 鈴木孝成
1954 堀井雄二/シド・マイヤー/広井王子
1955 岩谷徹/アレクセイ・パジトノフ/ユージン・ジャーヴィス
1956 橋本真司
1957 ナーシャ・ジベリ/高橋宏之/石原恒和
1958 鈴木祐/富士本淳
1959 藤岡千尋/遠藤雅伸/ピーター・モリニュー/岩田聡/高橋名人/坂本賀勇/杉山直/ロバート・ウッドヘッド/岸本好弘
=====60年代生まれ(70名)=====
1960 小口久雄/金子彰史/鈴木一也/手塚卓志/桝田省治/木屋善夫/ウィル・ライト
1961 薗部博之/岡本吉起/リチャード・ギャリオット/青木和彦
1962 高橋秀五/田中弘道/斎藤由多加/仙波隆綱/河津秋敏/坂口博信
1963 秋篠雅弘/麻野一哉/小島秀夫/青沼英二/加藤正人/田邊賢輔/内藤時浩
1964 中村光一/清松みゆき/金子一馬/野島一成/米光一成/岡田耕始/安田朗/吉積信/梶野竜太郎/土田俊郎/石井浩一
1965 鈴木英夫/渋谷員子/生田美和/前川正人/船水紀孝/三上真司/松野泰己/中裕司/水口哲也/山名学/名越稔洋/田尻智/時田貴司/稲船敬二
1966 高橋哲哉/北瀬佳範/毛利名人/今村孝矢/傑怪老
1967 山内一典/西健一/神宮孝之/イワタカヅト/吉田明彦
1968 菊池たけし/日野晃博/須田剛一/桑名真吾/池田恒基/飯田和敏/小泉歓晃
1969 河野一二三/世取山宏秋/寺田貴信/西村キヌ
=====70年代以降(36名)=====
1970 桜井政博/里見直/野村哲也/高橋龍也/上田文人/竹井10日/今村哲裕/井上純弌/神谷英樹/土林誠/飯野賢治/ジョン・カーマック/ジョン・ロメロ
1971 本根康之/井上淳哉/稲葉敦志/直良有祐/新川洋司/野尻真太
1972 亀岡慎一/尾畑心一朗
1973 奈須きのこ/武内崇/河本信昭/後藤裕之/石渡太輔
1974 渡辺大祐/長木一記
1975 麻枝准/石山貴也/高橋慶太/荒川健
1976 中澤工/五反田義治
1978 浅野智也
1983 板垣護
こういうのを作ると、いろいろ発見があって面白いですね。でもって予想通り1960年代生まれが圧倒的に多い。まあ元ネタがwikiですから、そこはバイアスをかけていただいて。でもいわゆる「有名クリエイター」の名前がずらーっと並びます。特に60年代前半って凄いですね。びっくり。日本のゲーム業界って、いわゆる「新人類」が作ったゲームを、「ファミッ子」が消費して大きくなった、なんて言えたりするのかもしれない。。。でもって、僕が1971年生まれで今年38歳ですから、全体的な高年齢化は否めないところ。70年代以降のゲーム開発者って、がくんと減ってしまうのが気になるところですよね。大作化と、それに伴うライン数の減少、著名クリエイターのスピンアウト、うーん。。。
ただまあ、ファミコンがなかった世代と、子供の頃からケータイがある世代では、遊び、そしてクリエイティブの原体験が異なるのは当然の話。アーケード→コンシューマ(据え置き&携帯)→PC/ケータイとプラットフォームが進化・拡散していく中で、そこでのゲーム体験も違ってくるでしょう。IT業界では76世代なんて言葉もありますけど、70年代、そして80年代のクリエイターを取り込んで、さらに拡大していけるのか。その違いをネガティブではなくポジティブにとらえる。ま、もろもろ楽しみではあります。