日々つれづれ2

はてなダイアリーから引っ越しさせました

RICOH GXR

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STYLUS1を購入した2014年の暮れに、SNSで久しぶりに連絡があった知人からデジカメを安く譲り受けました。それがRICOH GXRです。そのころ著名カメラマンでエッセイストの田中長徳氏にハマっていたので、GRシリーズがすごいらしい的な話は知っていました。GXRはそのリコーが新機軸のカメラとして2009年末に発売した製品で、すでに結構ロートルになっていましたが、根強いファンがいました。すでにSTYLUS1で十分満足していましたが、せっかくなので購入してみました。そして、その違いに驚きました。

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始まりは本体とRICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VCのセットでした。同社のコンデジであるGX200と同じ光学ユニットを備えていて、映像素子に1/1.7型のCCDを搭載しており、これだけだと単なる「かさばるコンデジ」です。それでも手軽に撮影できるのと、ハマればシャープな絵を撮ってくれること、そしてフィルターが創り出す絵(特にハイコントラストのモノクロ)がおもしろく、半年くらいこの状態で使っていました。

ただ、仕事にはまったく適さなかったですね……。光学3倍ズームなのはいいとしても、AFが遅くてシャッターを押すと「ジコッ」とワンテンポずれるのが致命的でした。かたやSTYLUS1を持っているのに、GXRを使うメリットを感じませんでした。ただ、この使いにくさが一種の愛嬌というか、STYLUS1にない癖みたいなものを感じたのも事実でして……。仕事はSTYLUS1、旅行やスナップはGXRと、次第に使い分けていくようになりました。

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もっともGXRの最大の特徴は「ユニット交換式」という点にあります。そこで、当初からGR LENS A12 50mm F2.5 MACROを購入するのは既定路線でした。2015年の春くらいだったと思いますが、ヤフオクでフィルター付きの並品を割安価格で入手しました。んでもって改めて痛感しました。「GXRは仕事に向かない」と……。噂には聞いていましたが、AFが遅い上に迷いまくるんですよ。ジーコジーコジーコと……。

ただ、出てくる絵は素晴らしい物がありました。APS-Cサイズの映像素子と8群9枚のレンズとのカップリングで、GXRの小型・高画質コンセプトを体現したユニットでした。そういえば久々に買った50mmの単焦点レンズでもありました。その意味でもSTYLUS1とは好対照でした。そうそう、D80を使わなくなって、APS-Cで50mmが欲しかったんですよね。街取りで50mm一本勝負に久々に挑戦する機会が増えました。

また、丁度その頃にマクロレンズに興味が出始めていたのも、このレンズユニットを購入した動機の一つでした。最初は何でもかんでも絞りを開放で取っていたため、絵が溶けまくって意味不明な写真を量産していましたが、次第になれてくると、今まで気づかなかったミクロの世界が待っていました。花や植物をとる楽しさに目覚めたのも、このレンズユニットのおかげでした。小型軽量でレンズが明るいので、よくレストランや居酒屋にも持っていって、料理の写真を撮るようにもなりました。

もっとも、日中で撮っていると液晶が反射してしまい、ピントの山がわからなくなりがちでした。そこで意を決して、専用外付け電子ビューファインダーのVF-2を購入しました。たしか、これだけで結構良いお値段がしたんですよね……。まあ、おかげで日中でも心置きなくマクロ撮影が楽しめるようになりました。

 

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こんなふうにGR LENS A12 50mm F2.5 MACROはGXRユーザーをして「このレンズを使いたいがために買った」というキラーアイテムでしたが、もう一つGXRにはウリがありました。それがGR LENS A12 28mm F2.5です。GRシリーズと同じ28mmのレンズユニットで、自分としてもぜひ使ってみたいと常々思っていました。そこでこれまた意を決して、2016年くらいだったと思うのですが、ヤフオクでポチりました。結果はこれまた予想以上で、出てくる絵の素晴らしさに驚かされました。

 

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GR LENS A12 28mm F2.5では被写界深度についても改めて学びました。液晶で被写界深度を確認することができたので、F11くらいに絞ればパンフォーカスで映るという意味が体感できました。GRシリーズがスナップシューターに向くという意味が、この時に改めて理解できたのです。AFに頼らなくても、マニュアルでパシャパシャ撮影すれば、それだけで綺麗な絵が撮れるのは非常に痛快でした。フィルムを気にしないですむデジカメの特性を活かして、ノーファインダーで良く撮るようになりました。

GXRを使っていて、嬉しい誤算もありました。知り合いのベテランカメラマンが、自分は使わないからと、ファインダーのGV-2をプレゼントしてくれたのです。外付けファインダーを使うと、カメラ本来の「ファインダーを覗いて撮影する」というスタイルが可能になります。当然素通しのガラスなので、近距離だとパララックスが発生しますが、そこもまた味でした。そのうちに、より像が大きく見えるGV-1が欲しくなり、迷ったあげくに購入してしまいました。結果はこれまた予想以上で、写真を撮る楽しさが増しました。

こんなふうにGXRはシステムカメラの「徐々に買い足していく」楽しさを教えてくれたカメラでした。STYLUS1がサービスセンターでドナドナされていった後も、我が家で現役カメラとして活躍中です。ただ、GXRにはもう一つ、RICOH GXR MOUNT A12というMマウント互換のシャッターユニットがあるんですよね。「Mマウントのレンズなんて自分には無縁」だと思っていましたが、後日ライカM4を購入することになり、我が家に都合3本のMマウントレンズがやってきました。

GXR MOUNT A12を買うべきか、買わざるべきか……。仕事にはまったく使えないわけですが、趣味だからこそ使ってみたい。ただ、2011年発売で、何世代も前の製品なんだよなあ……。そんなこんなで、レンズユニット沼に足を踏み入れることになった一台になった、GXRは魔性のデジカメでした。