日々つれづれ2

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LUMIX DMC-FZ20

前々回で書いたように2000年にCOOLPIX 950を購入し、撮影をデジタル化しました。COOLPIX 950を選んだ理由は、記者発表会などでよく見かけるようになっていたからです。そんな風に自分のカメラ選びは保守的です。周りがよく使っているカメラがいいカメラと信じています。そしてCOOLPIX 950の性能に限界を感じ始めた頃、周りでよく見かけるようになったのがLUMIX DMC-FZ10でした。ここでもジッと周りを見定め、まだ早い、まだ早いと自分を言い聞かせながら、改訂版のFZ20を購入しました。

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FZ-20を選んだ理由は35mmフィルム換算で36mm-426mmtという強力な望遠機能と手振れ防止機能、そして開放絞り値が全域でF2.8という明るいレンズを搭載していたからです。ゲームの発表会イベントというのは基本的に薄暗い中で行われるので、この3要素が非常に重要になります。欲を言えば広角側が28mmまであれば良かったのですが、そこは妥協できる範囲でした。実際これ以降、自分のカメラ選びは基本的に全て、この三要素を追求して来たといって過言ではありません。そしてこのパッケージングをいち早く提案したパナソニックは、当時非常にいいセンスをしていました。この流れはその後ネオ一眼として再評価されることになります。

 FZ-20はCOOLPIX 950に負けじ劣らず、世界中に持っていったカメラでした。2004年から2008年まで使い、最後はカバーの一部が壊れて中が覗けるまでになったほどです。その時の使用感をまとめたレビュー記事もアップされています。この記事を書いた半年後に念願のデジタル一眼レフを買ってしまったのでアレですが、スペックに表しにくい良さが凝縮されたカメラでした。

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一番良かったのは「モノの適正な大きさ」を再確認させてくれたことです。両手でしっかり握って顔の前で構えてファインダーを覗いて撮影し、首からかけて重すぎず、カバンにも入れやすい。それが自分の求めるカメラ像だとすれば、DMC-FZ20はまさにそれを体現していました。カメラにとって、一つの基準となるサイズではないでしょうか。実際、その後にミラーレス一眼が旋風を巻き起こしたのも、一つにはサイズが適切だったからだと思います。その上、DMC-FZ20は望遠でも広角でもレンズの長さが変わらない点が特徴でした。実にいい設計でした。

またストロボのオンオフが背面の十字ボタンに割り当てられており、ファインダーを覗きながら手軽に切り替えられた点も秀逸でした。後でデジタル一眼レフを購入して、これができないことを知り、驚いたものです(ストロボ側の電源ボタンをオンオフするしかない)。ゲームの発表会では発表者をストロボを炊いて撮影しつつ、瞬時にストロボをオフにしてモニターの映像を直撮りする必要が良くあります。こうした時に非常に便利な操作系でした。パナソニックの家電メーカーとしての良さが出ていました。

ファインダーが液晶だったことも良かったですね。今から思えば解像度が低く、だいたいの構図を決めるくらいにしか役立ちませんでしたが、なんといっても「見たまま映る」点が秀逸でした(この点は後に光学式ファインダーを持つデジタル一眼レフカメラを買って再認識しました)。光学式ファインダーの場合、ファンダー像と実際の撮影像が視野角やレンズの特性などで異なることがよくあります。特にプロジェクターの投影画像を斜め前から撮影する時などに、この歪みが顕著に出ます。光学式ファインダーが何でも一番ではないんだなと学びました。

後もう一つ、今さらといわれそうですが、このカメラで露出補正について学びました。そうなんです。それまで露出補正ってカメラ側で使ったことがなかったんです! 銀塩カメラ時代はモノクロのネガフィルム中心で、多少のずれはデザイナーさんが写真をスキャンした後、Photoshopでやってくれました。フリーになってからは自分で修正するようになりましたが、撮影時から露出補正を意識することはありませんでした。

それがこのカメラを新宿ヨドバシカメラに修理に出して、受け取りの帰りにたまたま露出補正をして何点か西口の繁華街を撮ったところ(オートブラケットのテスト撮影だったのかな……)、夕暮れ時の光に居酒屋のネオンがプラスの露出補正で良い感じに浮かび上がることに気づきまして、ビックリした記憶があります。もっとも当時のデジカメでは露出補正はメニューの奥底になっていて、直感的に使いづらかったため、あまり気がつかなかったんですよね。それがFZ-20では非常に使いやすかった。そこも含めていろいろなことを教えてもらいました。

もっとも、駄目な部分もたくさんありました。一番のウィークポイントはホットシューで、ニコンのストロボをそのままつけて使っていたところ(SB-28)、すぐにぐらぐらになってしまいました。2回くらい修理に出した覚えがあります。もっとも、それもパナソニック純正のストロボをつけると、とたんに壊れなくなったのですが……。ストロボでいえば調光調節がダイアル式で直感的にできたのも良かったですね。ただし、映像素子が1/2.5インチという豆粒のようなCCDでしたから、薄暗いところではノイジーにならざるを得ず、ストロボを炊いてもきれいに写らないという限界はありました。レリーズラグの長さも多少改善されたとはいえ、まだまだ問題でした。

決定的だったのは後継機種のFZ-30で開放絞り値が全域F2.8ではなくなり、サイズも前後に長くなって、コンパクトさが薄れてしまったことでした。時は2008年で、デジタル一眼レフが本格的な普及期に入っていました。先の商品レビューでは「まだまだ使い続けることになりそうだ」などと書いておきながら、その半年後にニコンD80を購入することになります。 

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